予言系の噂

 

 いにしえの世から、人は”未来”を知りたがる。それは”未来=未だ来ぬ時”に対して何らかのアクションを取る事による

安心感を持ちたいからであろう。その心の隙間に噂やデマが入りこむ・・・

 

世紀のデマ!ノストラダムスの大予言

 

1999年7つの月

恐怖の大王が空より来らん

アンゴルモアの大王を蘇らせん

マルスの前後に幸運で統(す)べんため

 

この四行詩を、ほとんどの人が耳にした事あるだろう。あまりにも有名な「世界の終わり」を予言した、とされる詩である。

私も子供の頃は純粋に信じていた。しかし、ある時を境に疑問を持つようになった。その原因とは・・・

「恐怖の大王って、みんな”流行りモン”じゃん!!」と気づいた時からだ。

最初に聞いた時は、恐怖の大王=核兵器だった。しばらくはその説だけだったが、そのうち地球環境の事が叫ばれ始めると

核兵器から酸性雨になり、大気汚染になり、オゾン層破壊による紫外線になっていった。その頃に「・・・怪しい・・・」

と気づいたのである。そこから、この四行詩に関する事を調べ始めると・・・出てくる出てくる重箱の隅!!

それらを検証して、この予言がいかに稚拙なモノであったかを証明してみせます。

 

1・何故、予言書といわれたか・・・

 

 この詩を含めた、色々な四行詩が書かれている本は、そのタイトルを「百篇詩」という。向こうの言葉で「サンチェリ」と言う。

つまり、英語でいう所の「センチュリー」である。そもそも、これが誤解の元になった・・・

この言葉を「世紀」と間違って解釈した所から全ては始まった。更に、中に書かれている詩が、全て「息子に伝える」形で書かれて

いたので、事を混乱させたのである。

「え?ならば、やっぱり予言書なんでしょ?」と思うだろうが、その内容は「16世紀のフランス、或いはそれ以前のフランスの出来事

その中でもスキャンダラスな事を対象に、戦争や宗教迫害の恐怖から発想した戦慄する言葉を用いて表現されている」のである。

平らな文章よりも、センセーショナルな語句を使った方が人々の興味を惹き付け易いのは明白である。つまり・・・

「恐怖の馬鹿っ母!息子を洗濯機に!!」と見出しに書く「女性自身」と同じ手法である。

または「16世紀の東京スポーツ フランス支局」とでも呼びましょうか・・・

しかし、それだけでは20世紀の事を言っているという裏付けにはならない。そこで出てくる詩が・・・

災渦過ぎて世人は残らん

永らく平和は人住まぬ地に続かん

安全に渡らん、空を、陸を、海と波頭を

しかるのちに再び戦争が引き起こされん

(1−63)

と言う四行詩であった。これを「第一次大戦から第二次大戦の事を詠んだ」と解釈してしまった連中がいた。確かに、そうとも取れる。

特に3行目は、空を安全に渡る=飛行機の発達、と捉える事も出来るだろう。しかしこれは、素直に読めば「どんなに便利な世の中に

なっても戦争は起きるんだよ」と言ってるだけではないか?空を安全に渡る=有史以前からの人類の夢でしょ?比喩表現の揚げ足を

とられちゃあ〜・・・ねぇ・・・

しかし、世の「予言研究家」は、「これこそ”20世紀を予言した証拠”だ!!」と言って憚らなかった。

で、みんな信じちゃったんですよ。

 

2・あの”四行詩”の真実

例の詩に戻ろう。もう一度詠んでいただきたい。

 

1999年7つの月

恐怖の大王が空より来らん

アンゴルモアの大王を蘇らせん

マルスの前後に幸運で統(す)べんため

 

この本の中に具体的な数字は殆ど出てこない。年の数字で具体的なのはこれくらいと言っても過言ではないくらいである。

その為、解り易く解釈しやすい。しかし、その数字以降が何を詠んだ事かが解るとその数字の意味が変わってくる。

この詩を解釈する中で最大のキーワードは「アンゴルモア」である。これを巡って、色々な論議がされ、一般に知れ渡って

いる説が・・・「アンゴルモア=モンゴロワのアナグラム(置き換え)」という説。しかし、実際は・・・

16世紀当時のフランスにあった地名「アングーモア」の事。

で、その大王とは、そこを領地として、その後に「フランソワ一世」となった「アングレーム伯」の事。

このフランソワ一世は、文芸に理解があり、当時多くの文人・人文主義者から愛されていた人であり、また、大変勇敢な王としても愛

されて人物である。おりしも戦禍・災害の恐怖が渦巻いて人々の世の中が荒んでた時代に

人文主義者のノストラダムスが「あぁ、あの王様の頃は良かったなぁ・・・」と思うのは当然の事。で、その願いを込めて「遠い将来

(これを”1999年”と表現)、きっと素晴らしい王様の時代になる為に強大な力が悪い世の中を払拭してくれる筈!」と読んだ詩で

あろう。で、マルスの前後ってのは占星術をやっていた彼が付けた見出しでしょう。

このように「大した事ない詩」をあれやこれやと曲解して「どうよ!すげ〜予言だよ!」と言った連中が沢山いたって事なんですよ。

ハッキリ言います「五島 勉 程度の事ならオレでも出来る!!」

では、その実践を・・・

 

3・「種田山頭火は予言者だった!!」

自由旋律の俳人・種田山頭火。彼の俳句は、身の回りを感じたままに詠った句として、大変愛されている。

しかし、そんな句の中に恐るべき予言が隠されていた!!

A・山頭火の見た「核戦争」

昭和5年〜7年の句には、いくつか不可思議な句がある。

涸れきった川を渡る(S5)・物乞う家もなくなり山には雲(S5)

風ふいて一文もない(S7)・寒い雲がいそぐ(S7)

涸れきった川・・・即ち「核の熱によって干上がった川」であろう。たとえ旱魃になっても幾ばくかの水は残るものである。

更に、家すらなくなる=焼け野原、そこに見える雲、これは「キノコ雲」の事ではないか!!そうすると、風とは「爆風」の事であり、

爆風によって何もかも(そう、一文の銭すら)なくなる=焼け野原になる、と解釈できる。寒い雲とは、核戦争後に訪れるといわれる

「核の冬」を引き起こす雲。それが空を駆け巡り、世界中を包んでしまう様を描写したのではないか!!

 

 

・・・と、まぁ、こんな感じで”解釈”すればどんな文章であっても”予言”になるわけですよ・・・

 

未来を知りたい欲求は誰にでもあるし、それを止める必要は全くない。

だけど、そこに付け入って「アコギな」商売をする輩も必ずいる・・・

 

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