笑い系の噂
駅前とか繁華街で見られる「ちょっとヘン」な人たち。
○○オジサンとか、××おばちゃんって話を何パターン聞いた事がありますか?または、何人くらい見た事ありますか?
噂の中でも「真実性」が一番高いのが、こう言ったパターンの噂です。
有名な「ナンチャッテおじさん」は放送作家の創作である事は間違いないが、それに何故か目撃情報が多発した。
ほとんどは、ネタのつもりで話しているパターンだと思われるが、中にはホントに見た人もいた。
何故、こんな妙な事が起きたのであろうか?
噂が先行して、それに人の行動が追従してしまった結果である。ナンチャッテおじさんを例にとると・・・
TVやラジオで変なオジサンの話が流れている。それを見た目立ちたがりのオジサンが、小学生の前でナンチャッテ
おじさんのマネをする。それが目撃情報として流れる。
最近は、子供との接触に対して非常にナーバスになってるので、こんな事をしたら即警察に通報されるでしょう。しかし、そ
の時代(と言っても、わずか20年ほどしか経ってないんですが・・・)は、まだ大らかだったんで、そんな”目立ちたがり”
なオジサンが認知されていたんですよ。それに、オジサンにしても悪気があってやった訳では無かったんで、一種の笑い
話として広がったんですね。
そのうち、色々なオジサン・オバサンが現れて来たんですが、その中には別な意味合いを持って出現した事も・・・
例(1)
皆さんは、落語に出てくる「与太郎」を知ってるだろうか?あのキャラクターは、話によっては「知的障害者」にあたる物も多い。
しかし、数々の落語が生まれた時代には「一つの個性」として認知されていた。その中で「一風変わったトボケたキャラ」としての与
太郎が生まれたのであろう。
戦後、復興した日本は「欧米に追いつけ追い越せ」の精神で突っ走ってきた。その中で、生産しない者を排除する動きも出てきた。
生産しない者、即ち「障害者」に対する非難、中傷が高まり、彼らは人目を憚って生きていくハメになった。
そのうち、障害を持つ者の存在=無かった事となってしまい、ときたま見かけると好奇の目を向ける世の中になってしまった。
その好奇の目によって目撃された彼らが、奇抜な行動(例えば、一風変わった格好とか)を取ると「あ!○○おじさんだ!」となる。
昔は大して珍しくも無かった事が、空白期間を置く事によって目新しい事になる。今の時代は、そんな状況とも言える。
日陰者を余儀なくされた彼らが、以前のように「変わり者」と認知されれば、その時こそ「バリアフリー」の世の中と言えるだろう。
例(2)
傾奇者(歌舞伎者)という言葉をご存知だろうか?「大辞林」によると・・・
「華美を好み、軽薄・異様な風体をする者。うわついた好色者。伊達(だて)者。」とある。早い話が目立ちたがり屋さんである。
これは、自己主張の方法として”奇をてらった”格好をする者の事である。都内で有名な「タイガーマスクおじさん」が、それにあたる。
こんな人を見ると、やはり人に話したくなるのが人情だろう。やってる本人も、それを望んでいる筈である。見てない人に話せば、そ
れが噂になる。
例(1)は、自らは望まずに噂になるパターン。例(2)は、自ら進んで噂になるパターン。噂としての面白さ(不確かさ)は、(1)だが、
その噂によって傷つく人がいる、って事も忘れてはならない。